パパとおやじから

新成人おめでとう。
今日から君たちは大人の仲間入りだ。
でも大人って二十歳になれば誰でもなってしまうものだろうか。
それはやはりおかしいと私は思う。
しかし無事に二十年生きてきて、
今日の空を見ているだけで素晴らしいことだ。
さまざまな二十歳があって世の中だ。

パパは娘に静かに言った。
「大人の自分を大切に生きて欲しい。パパがママに出逢った日のように、
まぶしくて、綺麗な日本語を話す女性になってくれよ」
オヤジはセガレに言って聞かせた。
「自分のことだけで精一杯の大人になるんじゃないぞ。
いい友だちを作り、信じられるものを見つけるんだ」
まぶしい自分になることも、
美しい日本語が話せるようになるまでも、
良き友を得ることも、信念を発見することも、
一年、二年じゃできやしない。
いいものは時間がかかる。
見てくれで人を判断するな。金で価値判断をするな。
すぐに手に入るものは砂のようにこぼれる。
本物を手にするのは苦しいぞ。
パパと娘は、オヤジとセガレは、この日、初めて乾杯をした。
この日を待っていたんだ。なんだか美味いな。
「酒は品良く飲みなさい。人も、酒も品格だ」
二十歳の君たちに乾杯。

この日を待っていたんだ。

                伊集院 静

    (サントリー酒類株式会社新聞広告より)

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